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炭鉱住宅 解体始まる 消える「ヤマの記憶」福岡・田川(毎日新聞)

 「炭都」と呼ばれた旧産炭地・福岡県田川市の松原地区で7日、市内最大を誇った炭鉱住宅街の解体が始まった。かつての住人らが思い出話をしながら作業を見守り「やっぱり寂しい」などと漏らし、市民からはまた一つ消える「ヤマの記憶」を惜しむ声も聞かれた。

 同市には最盛期の1960年代初頭、6130戸の炭鉱住宅があった。松原地区には約3割が集中していたが、現在は空き家となった115戸が残るだけ。それでも「昭和の面影」を評価され、08年からテレビドラマ「警官の血」や、映画「信さん・炭坑町のセレナーデ」のロケ地になった。

 ◇跡地に市営住宅

 市民から保存を求める声も上がったが、市は「管理維持に巨額の費用がかかる」として全戸解体の方針を決め、72戸が7月末までに取り壊されることになった。残る住宅も今後解体される。跡地には市営住宅などが建てられる予定だ。

 この日は午後1時から、危険防止のため柵で囲った地区に作業員が入り、倉庫を重機で押しつぶし、廃材を運び出した。

 元三井田川鉱業所の鉱員、矢田政之さん(79)=同市新町=は「炭鉱の男たちが真っ黒になって帰っては酒盛りをし、子どもをしかる女の声でにぎやかだったのが夢のよう。肩を寄せ合った暮らしをしのぶ長屋を、1棟だけでも残してほしいとまだ思っている」と話した。【林田雅浩、小畑英介】

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